幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

山の中に秘密基地を作ったり、キノコ狩りに行ったり、歌って踊って、楽しい日々を二人は過ごしていた。しかし、その楽しい日々はケイリーとエイダンが十三歳になった頃、終わりを迎える。

「何これ……」

ケイリーの持ち物が壊されるようになった。そして、ケイリーが困っている様子を見てクラスメート数人が笑っている。いじめだ。

最初のうちは我慢をし続けた。しかし、いじめは日に日にエスカレートし、ついにケイリーは耐えられなくなってしまった。

「何でこんなことするの！？」

いじめっ子にケイリーが訊ねると、いじめっ子は「いじめをやめてほしかったら、エイダンのギター壊せよ」とニヤニヤしながら言ってきた。

エイダンにとって、ギターが何より大切なものだとケイリーは知っている。そのギターを壊すことなどできない。しかし、逆らうとどうなるかわからない。

「ケイリー、どうしたんだよ？」

悩んでいたケイリーはエイダンに声をかけられ、肩をびくりと震わせる。エイダンはいつも通り笑っていた。

「な、何でもないよ！ちょっと疲れちゃって……」

ケイリーが誤魔化すと、エイダンは「ならいいけど、何かあったら言えよ。お前、自分が傷ついたらそれを必死で隠すんだからさ」と言って隣に座る。