幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

「お前っていい役者になれると思うよ。演技力がめちゃくちゃある！」

エイダンがそう言ってくれた時、ケイリーはドキッと胸が高鳴った。今まで自分の夢にしたいものなどなかった。しかし、その時に俳優という道に興味を持ったのだ。

「……ごめん……」

夢を与えてくれて、いつもそばにいてくれたエイダンを、ケイリーは裏切ることになった。エイダンの手からギターを奪い、エイダンが言葉を発する間も与えずに地面に叩きつける。ギターは壊れ、ただの残骸になってしまった。

「何で……」

エイダンの声が震えていた。ケイリーは何も言わずにその場を立ち去る。いじめがなくなるためには、こうするしかなかった。しかしーーー。

「ごめん……ごめん……」

ケイリーの目から涙がこぼれる。エイダンの傷ついた表情を思い出し、胸を何度も痛めた。

いじめっ子たちはケイリーをいじめることをやめた。しかし、エイダンは学校に来なくなり、そして転校したと知らされた。