幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

エヴァは星空を指差す。ケイリーにはどの星に何の名前がつけられているのかわからない。しかし、夜空には宝石のように輝く星があった。

「道に迷っていた際に星の位置で方角を見つけ、無事に家に帰ることができた人たちもいます。また、星は季節ごとに見える星と見えない星がありますので」

「なるほど……」

自分一人では解けなかった暗号を、エヴァはいとも簡単に解いていく。その頭のよさにケイリーは感心することしかできなかった。

「じゃあ、この星のごとく輝くものっていうのは？」

「これはおそらく、神話に登場する女神・アストライアーのことだと思います。アストライアーの名前の意味は、「星のごとく輝くもの」、「星乙女」ですので」

「でも、女神の名前だとしてもエイダンのメッセージが何かわからないよ」

ケイリーがそう言うと、エヴァは立ち上がり、窓に近づく。そして夜空のある星座を指差した。

「アストライアーは、ある星座のお話に登場する女神です。それはてんびん座です。てんびん座の見える方角は西です。西にエイダンさんのメッセージがあるのではないでしょうか」