幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
西と言われ、ケイリーはほろ苦い記憶を振り返る。そして、あることを思い出した。

「西といえば、僕とエイダンが秘密基地を作った山がある場所だ!」

こうしてはいられない、とケイリーは立ち上がりランプを手にする。

「どこへ行かれるのですか?」

エヴァの問いに、「秘密基地のあった場所へ行く!」とケイリーは答えた。すると、「私も行きます」とエヴァも立ち上がる。

二人はこっそり家を抜け出し、山へと向かった。



ケイリーの家から山まではそこそこの距離がある。

演劇で体を多少鍛えているとはいえ、ケイリーは昼間の公演での疲れもあってかすぐに歩く足が遅くなった。しかし、エヴァは歩く速度を変えることはない。

「エヴァって本当に体力あるよね。どうしてなの?」

ケイリーは前を歩くエヴァに訊ねる。エヴァはケイリーの方を振り向くこともなく、答えた。

「わかりません」

いつもなら、ここでこの話は終わる。しかし今日は違った。
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