幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「バージルさん、この街にはどのような有名なものがあるんですか?」

脚本家のかぐやに訊ねられ、バージルは「そうだな……。とりあえず移動しよう」と歩き出す。列車を乗り継いでエリカまでやって来たが、軍隊でしていたトレーニングを欠かさないためか、疲れは全く感じない。

「バージル、エヴァ、あなたたちってすごいわね!長旅だったのに疲れてないの?」

アイヴィーが苦笑しながら言う。バージルが振り向けば、シリウスたちは少し疲れた顔をしているが、エヴァは表情を変えることなく歩いていく。

記憶のない美しい少女に、バージルは興味が尽きなかった。



バージルがシリウスたちを最初に案内したのは、駅から遠くない場所にある広場だった。この広場では、乗馬や射撃などを体験することができる。

「この街は確か、軍隊の駐屯地が多くあるんですよね?」

かぐやの言葉に、シリウスとケイリーが「物知りだね〜」と言う。かぐやの言う通りだ。道を見れば、あちこちに非番の軍人がいる。
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