幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「軍人……」

ポツリとエヴァが呟いた。そして、ココアブラウンのブーツを履いた足がピタリと止まる。バージルは「大丈夫か?」と声をかけた。エヴァは談笑する軍人をジッと見つめている。

「軍服……銃……」

軍人は非番であっても、いつ何が起きてもいいように赤いネクタイの軍服を着ている。その姿を、エヴァはボウッと眺めていた。

「エヴァ?大丈夫?」

シリウスが心配げにエヴァの肩に優しく触れる。アイヴィーとケイリーも「気分悪い?」と声をかけていた。

「うっ!」

その刹那、エヴァは頭を押さえて倒れ込む。とっさにバージルはエヴァを支えようとしたが、それよりも早くシリウスが「エヴァ!!」と言いながら彼女を抱きとめていた。

「エヴァ!エヴァ!しっかり!!バージル、病院はどこ?エヴァを連れて行かないと……」

シリウスは意識を失ったエヴァを抱き上げ、バージルを見つめる。その目は泣くのを堪えているようだった。

「こっちだ!」
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