幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
バージルはこの近くにある診療所へと走り出す。シリウスもエヴァを抱き上げたまま走って来た。その動作に先ほどまでの疲れは全く感じない。

こいつは本当にエヴァのことを……。バージルは走りながら思った。

診療所でエヴァが診察されている間、シリウスはずっと落ち着きがなく、バージルやケイリーがなだめていた。そして、診察が終わった刹那にエヴァのところへシリウスは飛んでいく。

「気を失っているだけです。問題ありませんよ」

医師の言葉に、バージルはとりあえず安心した。アイヴィーとケイリーも「よかった」と抱き合っている。

穏やかな空気の中、かぐやだけが複雑な表情をしていることに、バージルはすぐに気付いた。



エヴァが目を覚ましてから、今日はもう宿に行くことになった。

「申し訳ありません。私のせいで……」

そう言うエヴァに、「何言ってるの!あなたの体調の方が大事!」とアイヴィーが優しく声をかける。

「エヴァ、荷物を持つよ」
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