幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
バージルはそう言うが、シリウスは「でも……」と呟いていた。エヴァが心配なのだろう。その腕をかぐやが掴み、優しく引く。バージルはエヴァの援護をするために走り出した。

「エヴァ!!」

バージルが外に飛び出すと、エヴァは大柄な兵士らしき人物を蹴り上げているところだった。小柄なエヴァの周りには、大勢の兵士らしき人物が倒れている。

「さすがだな」

「かなり片付きました」

そう言うエヴァの目は、野生動物のように鋭く光っている。襲いかかってくるのならば全力で抵抗すると体で語っていた。

「何をしている!早く捕らえろ!」

指揮を取っている人物が怒鳴り散らし、倒れている兵士らしき人物はまた起き上がってエヴァとバージルに襲いかかった。バージルは火かき棒で相手を殴りつけ、エヴァも相手の攻撃を避けて戦い続ける。

「オラッ!!」

木の棒を兵士らしき人物が振り下ろしてきたため、バージルはそれを懸命に受け止めた。その時、兵士らしき人物のマントに紋章が入っていることにバージルは気がついた。
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