幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「僕の両親は、僕と同じ俳優と女優をしているんだ。でも僕たちとは違って年中あちこちの国に行って旅をしながら公演しているんだけどね」

「確か、このお屋敷に戻って来られたのは三年前でしたよね。緊張してきました」

かぐやはドレスのシワなどを伸ばしたり、髪を整え直したりする。シリウスはエヴァに「応接間に行こう」と言い、三年ぶりに両親と再会することになった。



応接間のドアをシリウスがノックすると、「入っておいで」と懐かしい父の声がする。シリウスは喜びで胸を膨らませながらドアを開けた。

「ただいま、シリウス」

「見ないうちにまた立派になったわね」

応接間には、立派なスーツとドレスを着た両親がいた。二人の近くに置かれている荷物はあちこちの国で買ったものらしく、様々な国のラベルが貼られている。

「おかえりなさい!お父さん、お母さん」

忙しくあまり屋敷に帰ってくることのなかった両親だったが、再会した時にはたくさん遊んでくれたり、勉強を教えてくれたりした。シリウスはそんな両親のことが大好きで、それは今も変わっていない。
< 93 / 190 >

この作品をシェア

pagetop