幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

かぐやの言葉に、母が「かぐやさんも素敵よ。私に負けないくらいね」と微笑む。そして運ばれてきたデザートのケーキを父に食べさせていた。

「とてもおいしい！ハンナの愛がたっぷり詰まってるね！」

父がそう顔を赤くしながら言い、母も笑う。シリウスやかぐやも微笑んでいた。しかし、シリウスは気付いていた。

エヴァが出会ったばかりの頃のように無表情だったことを……。



お風呂に入り、シリウスはベッドに横になったのだがなかなか眠れない。明日は両親と出かける予定ができたのだが、なぜか眠れないのだ。

「……ホットミルクでも飲むか」

ベッドの上で一時間ほど眠れよう頑張ってみたのだが、うまくいかない。諦めてシリウスはベッドから起き上がった。

真夜中に近づいた屋敷は、昼間とは違って静まり返っている。キッチンに向かっていたシリウスは、中庭に続くドアが空いていることに気付いた。

「あれ？鍵をかけ忘れたのかな？」