結ばれる運命だから
20
『今 会社を出たよ。』
と言う 俊樹の声が 優しく耳に届く。
『うん。お疲れ様。ご飯の用意 できているよ。』
電話だと 案外 普通に話せる。
『マジで? 何 作ってくれたの?』
多分 俊樹は 歩きながら 話している。
『ハンバーグ。俊樹 好き?』
私が聞くと 俊樹は
『うん。大好き。嬉しいな。』
と言ってくれた。
『よかった。俊樹のリクエスト 聞かなかったから。心配だったの。』
私が ホッとして言うと
『ククッ。リクエストは 悠香。』
と俊樹は 言った。
私は ゴクリと 唾をのみ込む。
『ハハッ。電車来たから 乗るね。』
と言って 俊樹は 電話を切る。