結ばれる運命だから

「でもさ、染谷君って 意外だったよね。」

ひとしきり 冷やかした後で 山本さんは 小声で言う。

「うん。関さんなら わかるけど。」

顔の濃い関さん押しの 竹内さんも言う。


「そうですか?」

私は 曖昧に笑う。


「モッチー。染谷君と 付き合うきっかけって何?」

竹内さんは ズバリ聞いてくる。


「きっかけ、ですか。」

朝、突然 公表した俊樹。

私達は 何も 打合せを していなかった。


海の事を 言わずに どうやって説明すればいいか。

私の頭は まとまらない。


「染谷さんに 告白されて。」


俊樹が ” これから ちゃんと付き合おう ”って 言ってくれたから。

まあ 嘘ではないから いいか。



「モッチーも 染谷君のこと 好きだったの?」


竹内さんの言葉に 私は 小さく頷く。




詳しく聞きたがる 竹内さんを 山本さんが 笑う。


「感じの良い人だなって 思ってました。」

これも 嘘ではない。



「モッチー、染谷君って 良い人 選んだかも。」

私を 質問から解放するように 山本さんが言う。

「えっ?」

「染谷君、穏やかだし。今までだって 浮いた話しって なかったよね。」

山本さんは 竹内さんと頷き合う。



私の心は ふわっと温かくなった。







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