結ばれる運命だから
「悠香が 会社に入ってきた時 俺 運命に感謝したよ。」
俊樹の 少女みたいな言葉に 私の胸は 熱くなる。
「でも 俊樹、私を ずっと無視するから。」
私は 少し拗ねた目を 俊樹に向けた。
「まさか。だから 海のこと 後悔したの?」
俊樹の 優しい目に 私は 頷く。
「俺のサイン 気付かなかった?」
「指 握ったこと?」
「それだけじゃないよ。俺 いつも 悠香のこと 見ていたんだよ。」
私が 驚いた顔をすると
「無視していたのは 悠香の方でしょう。」
と言って 俊樹は 私の頭を コツンと叩く。
「私 すごく怖かったの。俊樹に 嫌われていると思って。話しかけたら 迷惑な顔 されそうで。でも どんどん 俊樹のこと 好きになるし。どうしたらいいか わからなくて。」
ふいに 私の目から 涙が溢れる。
俊樹は 私を 強く抱きしめる。
「ごめん。」
と言う声が 耳に滑り込み 私は 号泣してしまう。
幸せ過ぎて。
そういう時に 涙が出ることを 私は 初めて知った。