結ばれる運命だから

「悠香。お正月は 実家に帰るの?」

俊樹に聞かれて。

「うん。夏は 帰らなかったから。」

私は 俊樹の 顔を見て言う。

私がいないと 俊樹は 寂しいかな、なんて。



自惚れている?

羽を伸ばして 昔の友達と 遊んだりするのかな。


「俺も 一緒に 行こうかな。」


俊樹は ボソッと言う。

「えっ。うちの実家に?」


私は 驚いて 俊樹を見上げる。



「お嬢さんを下さい。幸せにします。」


俊樹は 照れた顔で 冗談みたいに言う。



私は 何も言えなくて。

両手で口を押える。


黙って じっと 俊樹を見て。


「悠香。泣かないで。」


俊樹に言われるまで 涙が流れていたことも 気付かなくて。



「えっ?」

急に 喜びが 込み上げて。


私は 子供のように 泣きじゃくってしまう。



「は・る・か。」

ゆっくり 名前を呼ぶ 俊樹の腕に 抱きとめられて。


私は 甘い涙を 流し続けた。







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