結ばれる運命だから
前島さんに付いて 仕事を教えてもらう毎日。
前島さんは 20代後半の穏やかな女性。
5月末に 結婚退社が決まっていた。
「前島さん、本当に 5月で辞めちゃうんですか?」
前島さんが辞めた後、
私は 前島さんの仕事を 1人でしなくてはならない。
「大丈夫よ。すぐに慣れるから。心配ないわ。」
と前島さんは 楽天的に言うけれど。
「でも。仕事の種類が多くて。私 覚えきれないです。」
私は 不安を隠しきれない。
「望月さん、覚えがいいし。仕事の手際がいいから。私 安心しているの。」
笑顔で言う前島さんに
「そんなー。どうせ辞めちゃうから どうでもいいと思っているでしょう?」
私は 少し拗ねた顔で言う。
前島さんは ケラケラ笑って
「本当よ。自信を持って。」
と答えた。