結ばれる運命だから


配属されて 1ヶ月。

GWも終わり、私は 仕事にも だいぶ慣れてきた。



俊樹とは 挨拶を交わすだけ。

私を忘れているのかと思うくらい 平然としている俊樹。



再会した日は あんなに不安だったのに。

私は逆に 物足りなく思うようになっていた。



俊樹にとって 私は たった一夜を過ごしただけの相手。

何回も繰り返した 夏のアバンチュールの一回。

それも 2年も前のことだから。

俊樹は 私を 全く意識していない。



それを寂しく思う私は 間違っているのかもしれない。

お互いに 割り切った体験のはずなのに。




でも あんなことは 初めてだったから。

もちろん あの後もないし。



私にとってあの夜は たった一度の体験だった。



その相手として俊樹は 完璧だった。


きれいな思い出にしたはずなのに。

また 目の前にいるって。



反則だと思う。





< 53 / 175 >

この作品をシェア

pagetop