結ばれる運命だから

「営業の先輩も 良い人 多いんだ。染谷さんとか。」

黒田君は 俊樹の名前を出す。 


私は ハッとして 黒田君を見る。

そういえば 黒田君は 俊樹と同じ 営業2課だった。



「染谷さん、いつも そっと 俺をフォローしてくれて。しかもカッコいいし。俺。憧れているんだ。」

ほろ酔い加減の黒田君は 女性の中で 得意気に話す。

「へえ。どんな感じ?」

新宿支店の前田さんが 黒田君に聞く。

「背が高くて イケメンだよね、モッチー。」

と黒田君は 私に振る。

私が 曖昧に笑うと


「そう言えば 染谷さんに モッチーのこと 聞かれたよ。」

黒田君は 意外な事を言って 私を驚かす。

「何、何。それ。」

私よりも先に 石川さんが 黒田君に喰い付く。



「モッチーは彼氏 いるのかな、とか。染谷さん 絶対 モッチーに気があるよ。」

黒田君の言葉に 私の胸は高鳴る。

「またぁ。社交辞令でしょう。」

嬉しさを隠して 私が言うと



「俺、そういう勘は 鋭いから。間違いない。」

黒田君は 胸を張る。

「酔ってる、酔ってる。」


と笑いながら 私は やっぱり 嬉しかった。



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