結ばれる運命だから
木村さんは 20代後半の 営業社員。
いつも 馴れ馴れしく 私に 声をかけてくる。
私は 少し 迷惑だった。
「夏休みは どっか行ったの?」
相変わらず 馴れ馴れしく聞かれて
「いいえ。ずっと家にいました。」
私は 素気なく答えた。
「えー。そうなの。もったいないなあ。ねえモッチー、今度 合コンしない? モッチーの同期 集めて。」
木村さんは 私の素気なさなど 気にもせずに言う。
「同期の子、彼氏いるから。無理だと思います。」
私は 顔も上げずに言う。
「えー。モッチーは? 彼氏いるの?」
不意に聞かれ 私は 口ごもる。
「いえ、あの。」
私が もたもたしていると
「聞くだけ聞いてみてよ。何人でもいいから。そうしたら 男子 集めるからさ。」
木村さんは そう言って 給湯室を出て行った。