結ばれる運命だから

「俊樹。それに 普通に話して。」

あの日のように 俊樹は 自分を指して 名前を言う。

あの日のように 私の手を握って 歩き出した。


私の胸は 破裂しそうなくらい ドキドキしていた。

掌から 脈が伝わってしまうんじゃないかと 思うくらい。


「お腹空いたね。食事しよう。」

そう言って 俊樹は 奥へ 歩き出す。


「ここで食べるの?」

ホテルのレストランで 食事したことなんて ないから。

私は 驚いて 俊樹を見つめる。


優しく頷く 俊樹に

「あの、私 居酒屋とかで いいんだけど。」

と慌てて言う。


俊樹は 心地よい声で笑って

「いいの。記念すべき食事だから。それに俺 悠香より いっぱい ボーナスもらったし。引っ越しもしてないから。」

俊樹の言葉に 私は また驚く。


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