18歳で父になった。
なんとも言えない沈黙が俺達の間に落ちると
恋雪がチラッと俺のプリントを見る。
「医大、受かりそう?」
プリントが医大の過去問のコピーなのに気づいたのか、そう少し心配そうに聞いてきてくれた。
そう、実は勉強ができるってのも元からじゃない。
人よりきっと沢山寝る間も惜しんで毎日勉強してるのだ。
でないと、普通の脳みそしかもちあわせてないから。
小学校から父さんの跡を継いで医者になりたいと漠然と思ってて
中学校で本格的に勉強を始めた。
きっと人より遅く始めたし、普通の脳みそで、部活もしてる俺は人一倍しなくちゃいけない。
勉強も部活もどれも中途半端は絶対に嫌で
どちらにも大量に時間を注いできた。
睡眠時間は毎日4時間。
体に悪いとか寝ろとか言われるけど、もう慣れちゃって平気なのだからしょうがない。
そんな姿を、恋雪は見て、そっと支えてくれた。
だからこそ、心配してくれるのだろう。
「ありがとう、でも今のところは余裕って言われてる
まぁ、油断大敵だからな!」
「無理、しすぎないでね?」
「ありがとう」
恋雪は、労いの言葉と
バッグからチョコレートを取り出して渡してきた。
「板チョコだけど、糖分補給もしてね」
「お、嬉しい
じゃあお礼にこれやる」
優しい心遣いに心が暖かくなりながら
恋雪に付き合ってる時に読みたいと言ってた本を渡した。
この前、そう言えば恋雪読みたいって言ってたなと買って読んでみて、恋雪にあげようと持っていたものだ。