18歳で父になった。
というか、それを平然と言ってのける柚子の精神はどうなってるんだ、サイコパス?
訳が分からずにいると
おそらく恋人の龍ちゃんから肩を押される。
「どうなんだよ!
お前が捨てた女だろ?責任もって幸せになるまで面倒みろや」
「………」
なんかもうおかしくないか?
俺が悪いのか?
俺にも責任はあるけどそこまでする義理はあるのか?
俺にだって守りたい子供がいる。
そんな貴重な時間を費やして心配して毎日ここに足を運んでいたのに、こんな仕打ちってあるのか?
なんだかもう全部どうでもいいな。
「ごめん、俺はそんな心は広くない。
悪いけど離婚させてもらう」
永遠と呪いのように柚子から付きまとわれることを考えると嫌で、俺はそう言いきった。
信じられない。
この演技の上手なお嬢さん。
女優にでもなった方がいいんじゃないか。
そんなことを考えながら今すぐ役所に離婚届を取りに行こうと、柚子の家から出ようとすると、待てよ!と掴まれるうで。
うざいな…。
「鬱陶しい。
俺はもう決めたんだよ、付き合ってられるか!」
俺が腕を掴んできた男の手を払って、そう言いつけると、柚子が立ち上がって俺の元にやってくる。
「あんたが全部悪いのよ!!
あんたのせいで私の人生台無しよ!!」
「その言葉そっくりそのまま返すよ。
仮にも親になる女がそんなんでどうするんだ!しっかりしろ!いい大人が恥ずかしくないのかよ!」
全てどうでも良くて、気を使っておやる必要も無いな思って、思うままに言葉を伝えると
柚子は口をぽかんと開けて目に涙をうかべる。
「付き合ってられないからまじで。
俺には大事な娘がいるんだからお前なんかに時間割く必要ない。
じゃあな離婚届持ってくる」
これ以上長居すると、色々口をついて出てきそうだったからそそくさと柚子の家を出た。
自分がこんなにはっきりものを言ったのはいつぶりだろう。
そんな少し清々しい気分で役所へ向かった。