18歳で父になった。

彼女

「紫苑くん、今日私の家に泊まらない？」






2人並んで帰っていると、突然柚子はとんでもないことを言い出した。




ちなみに帰ったり遊ぶ時は手を繋ぐって約束を涙目で求められて断れず作ってしまったので、手は繋いでる。




そんなことよりも、だ。




家に泊まるはまずいだろ。






「いやいや、遠慮する
親御さんも急に連れてきても困るだろ？」



「んー、親基本おうちいないよ」



「どういうことだ？」






少し寂しそうに目を逸らす柚子。



どうしたのかと首を傾げると
"近くの公園のベンチに座ろう"と連れていかれる。






「で、基本いないってどういうことだ？」






何か困っているなら助けてあげたい。

少しでも力になれるなら。


そんな思いで聞くと、柚子はへへっと笑った。






「私の両親の実家･ばあちゃん達が農家で、地方で暮らしてるの。
自分たちが元気なうちは自由なことしてって言われたらしくて、中学までこっちに3人で暮らしてたんだけど
おばあちゃん達が足腰が悪くなってて、両親もそっちに行くことになったんだ。
でも、高校までは私だけはこっちで暮らして、卒業したら両親達のところに行くってことになってるの」



「そうなのか」



「うん、だからあの一軒家に1人なんだ
寂しいんだよね」






柚子も色んな苦労があるんだな。
だからこの前家に送り届けた時も真っ暗だったのか。




なんて、少し親近感が湧いてしまう。



俺も、父親が医者で開業したてはなかなか帰って来れなくて


母親も父親が居ないストレスで精神的に病んで


俺と、双子の妹は少しだけ寂しい思いをしたことがある。




今でこそ、父親も割と自分の時間や家族の時間を作れるようになったし
母親も元気に戻ってるけどな。


ちなみに双子の妹は今違う高校に通ってる。