18歳で父になった。
「紫苑くんが誘ってくれるの初めてじゃない…?」
「そうか?
そうかも?」
無事に恋雪と合流して、2人で出店の方へと向かう。
言われてみれば俺から何かをしようと誰かを誘うことってあんまりないかもしれないなぁ。
「何食いたい?」
「んー、たこ焼きとわたあめ!」
「おっけー、ちょっと買ってくるからその辺のベンチに座って待ってて」
俺は比較的人の少ないベンチに恋雪を座らせて買いに行く。
もうすぐ花火だからか、屋台も少しだけ人が少ないような気もするな。
「柚子葉と璃苑はどこにいるんだろなー」
こんな人混みじゃ探せないか。
なんて思いながら、恋雪に頼まれたたこ焼きとわたあめ。
それから自分に焼きそばと焼き鳥とジュース2本買って戻っていると、ヒューと音が聞こえてバンッと破裂音とともにみんなの歓声が聞こえてきた。
どうやら花火が上がってしまったようだ。
「急ごう」
花火の前に戻るつもりが、あと少しのところで戻れず急ぎ足で戻ると
ベンチには恋雪と、見たくない人物が睨み合っているのが見えた。
「おい、なにしてんだよ」
「あ、紫苑くん!
なに?やっぱこの女と付き合ってんの?
娘は放置して2人でデート?」
そう、嫌な言葉をなげかけてくるのは柚子。
あれ以来初めてあったが、子供は連れていないようだな。
「自分だって子供連れてないのに紫苑くんには言えないでしょ」
「うざ。子供なんてお荷物だもん。
産んで施設に預けたわよ。あのバカ男とも別れたし」
「えっ…」
恋雪の言葉に、平然とそんなことを言ってのける柚子が怖い。
つまりあの時のお腹の子は、施設にいて親なし子になってしまったわけだ。
俺と恋雪が何も言えずに絶句していると、柚子はニコッと笑った。
「あの時紫苑くんが私達を捨てたからお腹の子は親無し子になったんだよ?わかってる?
本当に紫苑くんはクズだよね」
柚子の言葉は頭が痛い。