18歳で父になった。
なにはともあれ、付き合っていない男女が一つ屋根の下に寝泊まりするのは非常にまずい。
「柚子が寂しい気持ちはわかった
でも、俺たちは付き合ってないんだからやっぱりそういうのはダメだと思う。
そういうとこはちゃんと線引きしたい」
万が一何かあった場合、子供の俺たちでは責任が取れないから。
と、付け加えると柚子は繋いでいる手にぎゅっと力を込めた。
「じゃあ付き合おうよ」
「そういう問題じゃ…」
「私は本気だよ?ずっとずっと結婚したいと思ってるよ」
説得するつもりが、何故か告白をさせてしまった俺。
どうしようか。
そして結婚とは気が早いな。
なんてツッコミも今は心の中に留めておいた。
「俺は、付き合うの向いてないんだ。
幸せに出来る自信が無い」
そりゃ、少しは柚子のこといいな、とか守りたいなとは思う。
でもやっぱり恋雪の時に上手く表現出来ずに悲しい思いをさせて、別れるなんて言わせてしまったのだからそんな思いはほかの人にさせたくない。
俺自身も、バスケ、勉強で手一杯な今
恋愛まで器用にこなせる自信ないし。
そんなことを伝えると、柚子は予想外にニコッと笑った。
「大丈夫、私は手放したりしないよ?
恋愛が不器用でもいいの。
私だけの紫苑くんになってよ」
柚子の言葉は有難いもので。
やっぱり素直に嬉しいなっと感じた。
柚子がこう言ってくれるのなら
もう一度、不器用かもしれないけど、俺なりに精一杯大切にしてみようかな…。
柚子の真っ直ぐな言葉に、俺はゆっくりと頷いた。
「付き合おうか。
精一杯大切にする」
「紫苑くん…」
俺が少しでも人を幸せに出来るのなら
頑張ってみたい。
そんな気持ちを込めて、嬉しそうに顔を赤らめる柚子をそっと抱きしめた。