18歳で父になった。
「紫苑くんはどんどんパパになって凄いよ」
「そりゃ、父親になって何年が経つしな?
でも、恋雪もママとか無茶ぶりに付き合ってくれて本当に助かってる」
買ってきたものを食べながら、何気なく花火を眺めながらそんな話をする。
恋雪が母親のように柚子葉を可愛がってくれるから、柚子葉も寂しい思いをしなくて済んでいると思うし。
「私はただ、紫苑くんの近くにいたくて必死なんだよ。
もちろん柚子葉ちゃんも可愛いけど、それは大好きな紫苑くんの子供だからこれだけ愛せるんだと思う」
そういう恋雪の顔はまるで母親の顔で、俺は思わず微笑んでしまった。
「恋雪とずっと一緒だったら、きっとこんなことにはならなかっただろうな」
恋雪の柔らかい笑顔につられて、俺はそんなことを漏らしてしまった。
時々考える。
俺のせいで人生が狂った人間がどれだけいるか。
たとえ考えを変えても、そう思う心はなくならないから。
そんなことを考えた時、恋雪とずっと上手くいってたらきっとずっと穏やかな日々を過ごせていたんだろうなと思うんだ。
我ながら弱気で最低だとは思うけど
そんなことを思った後すぐに、そしたら柚子葉と会えてなかったのだからこれは正しかったんだと思う。
そんな俺の言葉を聞いた恋雪は
俺の顔を覗き込んで優しい笑顔をもっと優しく緩ませた。
「私は全部をひっくるめて、紫苑くんを好きでよかったと思ってるよ。
紫苑くん、私じゃだめなの?」
そんな、優しい顔の恋雪は、そのままそっと俺の顔に近づいてきた。
「っ…」
そのまま、恋雪の唇は俺の唇と重なって
1度離れても、恋雪はまたもう1度口付けてきた。