18歳で父になった。
【恋雪side】
紫苑くんとひとつになった。
ずっとずっと大好きな、大好きで仕方ない紫苑くんと、2度目の。
私は紫苑くんと一緒にいられるのなら
紫苑くんと繋がれるならセフレでもなんでもいい。
ただそばにいたいから。
なんて都合のいい女なんだろう。
これが紫苑くんじゃなかったらとっくに捨てられてるよね。
なんて思いながら、ホテルを出て私の家へと送ってくれる紫苑くんの横を歩く。
「恋雪は大学楽しいか?」
「うん、みんな優しくて楽しいよ」
「よかったな〜!
俺はやっぱ変なやつ多いぜ医大」
「え、そうなの??
頭いい人ってすごいもんね」
なんて他愛ない話をして笑い合うこの感じが好き。
まるで付き合ってた時に戻ったみたいだ。
紫苑くんは背が高くて
私とは頭1つ半くらい違うし、明るくて優しくて運動神経も良くて頭もいい。
性格だってみんなに好かれるし、でもその分たくさん自分の中で抱え込んじゃうのが心配。
ずっとずっと馬鹿みたいに10年程見てきた。
それでも叶わない思いはあるんだよね。
「紫苑くん、少しだけ許して」
「ん?」
刻々と近づく家に、私は紫苑くんと離れなくなくて手を繋ぐと、嫌な顔ひとつせず優しく微笑んでくれた。
「大丈夫、またすぐ会おうな
ヤリ捨てしたりしないからな」
私の不安が手から伝わったのか
紫苑くんはそう言って誰よりも優しい顔で笑った。
やっぱり好き。
どうしようもないくらいに紫苑くんが好き。
普段は明るくおおらかで、小さいことは気にしない全然怒らなくて責任感が強い。
でも本当は誰より繊細で優しくて、人の変化に気づける。
そんな紫苑くんが大好きだ。
こんな素敵な気持ちを知れた私は幸せ者だな。