18歳で父になった。
「恋雪?ままってどういうこと?
この人と結婚してるの?」
俺たちの会話に置いてきぼりを食らっていた横の男が、恋雪の腕を掴んで目をめいっぱいに開いて驚いている。
そりゃそうだよな…。
「えっと…話すと長いんだけど簡単に言うなら紫苑くんの子供の柚子葉ちゃんが私をままだと思ってる…かな」
「え?」
「だから結婚はしてないし、柚子葉ちゃんには内緒だけど私は産んでないの」
恋雪の軽い説明を聞いて、その男は俺の顔を睨みつけてきた。
「紫苑、ってお前かよ」
「こんにちは」
俺の事を睨んで、挨拶に無視した男からは俺への敵意が剥き出しで、恐らく恋雪のことが好きなのだろうと察した。
「紹介するね、こっちが紫苑くん。
こっちは潤くん」
「あー、電話の」
「そうそう!
大学と職場が一緒なんだ」
これが噂の潤くんかぁ。
目つきはどちらかと言うと悪く、濃いめの顔立ち。
身長は俺よりは低いがそこそこ高い方だろう。
第一印象は俺の友達にはいないタイプだなと言ったところ。
「まま、今日お家きてよ!」
潤くんとやらの怖い顔なんて気にもとめない柚子葉は恋雪の手を取ってそういった。
「おい、紫苑、ちょっと来いよ」
「……はぁ。
恋雪、柚子葉のこと頼む」
初対面でいきなり敵意むき出しの呼び捨て、呼び出しにウンザリしながら
恋雪に柚子葉を預けて2人で離れた所へ向かった。