18歳で父になった。
家に帰ると、両親も双子の妹も既に帰ってきていた。
「遅い。約束破るとか珍しいよね
なんかあったの?」
リビングで勉強道具を持って仁王立ちして怒るのは
双子の妹の璃苑(りおん)。
女子校に通う気の強い女の子。
ちなみに将来は俺と同じく医者だそう。
「ごめんな、忘れてたんだよ」
「ふぅん、最近いつもよりスマホいじってるのと関係あるの?」
璃苑はそう言うと、机にバンと勉強道具を置く。
璃苑は小さい頃に甘やかしすぎて、お嬢様気質で
"ここの家の人はみんな私のモノ"
とか言い出すような子だ。
自分の約束より優先したことがあるのが気に食わないのだろう。
「彼女と会ってたんだ」
理由を言うまでキレ続けると思った俺は
素直に事情を話すと、璃苑は"はぁ?"と聞き返してきた。
「彼女?私より彼女?
てか、いつの間にできたの?
私になんの報告もないとかありえない」
「今日付き合ったんだよ」
「ありえない。恋雪はどうすんのさ」
璃苑は恋雪の友達で、俺と恋雪が付き合うことをすごく応援してたようだから未だに言ってくるのだ。
恋雪とのことは悪かったと思ってるけど
仕方ないことだろう。
俺が、怒る璃苑にタジタジになっていると
父親がクツクツと笑った。
「そりゃ紫苑も男だし、彼女の1人や2人いるでしょ。そうカリカリしないの」
ね?と、璃苑に語りかけると
璃苑はムスッとむくれる。