18歳で父になった。
「柚子、ちゃんと向き合おう。
もう逃げるのはやめようよ、後悔するぞいつか」
柚子の姿を見るに耐えかねた俺が、そっと背中をさすると柚子は涙を流す。
「だって…もう誰も頼れない…。
産みたくないし育てたくないけど堕ろしたくない」
そういう柚子はつらそうに肩を揺らして泣くが、父さんはただ見つめるだけだ。
「俺達には頼れよ。
できる限り支援するし、だからちゃんと向き合おう。
まだ人生やり直せるぞ」
もう24歳。まだ24歳。
柚子の根性があれば必ずやり直せる。
俺の言葉で柚子は少し落ち着いてくれたのか、こくんと頷いた。
「大丈夫?向き合える?」
「分からないけど頑張る。
そうしないと私生き倒れるもん」
「おう、大丈夫、柚子ならできる」
まだ暗い顔の柚子を励ましつつ
約束をかわすと、父さんは俺を見つめていた。
「甘いね紫苑は。
恋雪ちゃんたちに言うか言わないかは自分で決めなよ」
「わかってる」
「じゃあそういう事で明日から仕事と自分に向き合うの頑張って」
少し冷たい父さんの言葉に頷いてとりあえず俺の部屋だった場所で寝泊まりしてもらうことにした。
甘い、か。
確かに甘いかしれないけど、柚子が変わってくれることを願おう。
そうしたら俺も救われるよ。