18歳で父になった。
ひとまず柚子を実家に預けて、俺は帰宅。
時刻は23時になっていて予定より遅くなったと思う。
「おかえり!
柚子葉ちゃん眠っちゃったよ」
「ああ、ありがとうな」
「紫苑くん何かあった?」
恋雪の用意してくれていたご飯を食べようとしたところで、恋雪は俺にそう聞いてきた。
目ざとい。
「言いたくなかったら言わなくてもいいけど、何かあったら相談して欲しいな」
恋雪は心配そうに眉を下げてそう言ってくれるがどうしたものか。
「嫌な気持ちになるかもしれないけど」
「大丈夫!ちょっとやそっとじゃ私は紫苑くんから離れるわけないじゃん?」
俺の不安はどこ吹く風といったふうで、恋雪はそう言って笑う。
それに確かに恋雪なら信用出来るかもしれないと思った。
「実は…」
俺は全て話した。
柚子が起こした行動、今日のこと、実家に置くことにしたこと。
聞いても確実に嫌な気持ちになるはずの話を恋雪は嫌な顔ひとつせずに頷いてくれた。
「よかった。紫苑くんが見捨てるような人じゃなくて」
嫌な顔ひとつしないどころか、恋雪はそう言って俺を抱きしめたのだ。
「紫苑くんのことは信じてるから大丈夫だよ。
私は優しくてお人好しの紫苑くんも含めて好きになったんだから」
そう言ってくれる恋雪にやっぱり恋雪で良かったなと思う。
こんなに優しくて人のことを思えて、安心できる人はきっともう他に居ないだろう。
「ありがとう恋雪。
俺、恋雪選んでよかった。これからもよろしくな」
「えへへ、自慢の彼女になるね」
「おう」
ひとまず、恋雪とのその後の話し合いで柚子葉を実家には行かせないようにしようとなった。
きっと大丈夫。
上手くやって行ける。
そんな自信が不思議と湧いてきたのだった。