18歳で父になった。
「散々酷いことした今だって、紫苑くんは守ってくれてるじゃん。
これは愛情だよ、きちんと紫苑くんなりに最後まで添い遂げられなかったからって愛情を未だに注いでるよ」
優しい
なんて言葉じゃ紫苑くんの柚子ちゃんにしてきた行動が納得できないもん。
どれだけ酷くされても
救いを求められたら必ず助ける。
それは紫苑くんの愛情だもん。
悔しいけど。
そんな言葉にとうとう、柚子ちゃんはヒックヒックと嗚咽をもらしてうずくまって泣き出してしまった。
「紫苑くんの気持ちを知っても、やっぱり好きじゃなかった??」
蹲る柚子ちゃんに私が問いかけると、涙をボロボロと流す瞳で私を見つめてきた柚子ちゃん。
「そんなの全部知ってるわよ…。
優しいのも愛情なのも私のことをちゃんと好きだったのも。
沢山苦しませてるのも」
柚子ちゃんは苦しそうに言葉を紡ぐ。
「でも優しいから、好きじゃなかったって言わないと!酷いことしないと嫌われないじゃん!
嫌われないと、諦められないもん!!」
そんな悲痛な叫びでやっと理解した。
そうなんだ。
柚子ちゃんは好きすぎて、でも分からなくなって酷いことを沢山して傷付けて嫌いにさせたかったんだ。
じゃないと私みたいに諦められないから。
「なのにいつまで経っても嫌いになってくれない必ず助けてくれる!
そんなの諦められるわけないじゃん…もう私は許されないのに」
そう言ってわんわん泣き始めた柚子ちゃんは子供みたいだった。
「素直になった方がいいよ」
そんない私の声は届いているのかないのか。
鳴き声でかき消されてしまったのだった。