18歳で父になった。




一通り買い物を終え
今朝何とか予約できたお店へとランチをしに来た。






「ファミレスとかかと思ってたら、こんな高級そうなところでランチだったなんて…」






恋雪は席に着くなりそう言って店内を見渡してソワソワとし始める。



そう、ここは一応調べて俺の今から行うことにそれなりにあった場所を選んだつもりの場所だからな。



少し奮発した。






「なんだかお昼からこんな素敵な場所でご飯なんて幸せすぎて怖いかも」






なんちゃってっと言って笑う恋雪はやっぱり可愛い。






「紫苑くんどうしたの?表情硬いよ?」



「あぁ、大丈夫。ごめん」






運ばれてくるご飯を美味しそうにパクパクと食べる恋雪を見ながら刻一刻と近づく時間に緊張してきた。





何日も前から考えた言葉。
何ヶ月も前から用意した物。



無事に渡せるのか。




そんな不安がよぎりつつも、俺もまたご飯を口に運ぶが緊張で味はよくわからなかった。








「美味しかったね♪
あとはデザート?何が来るんだろう?楽しみ」



「そうだな」






人生で俺はこんなに緊張したことがあるか?


いやない。



テストも、バスケの試合も、クラス発表、表彰。


どんな時だってこんな緊張したことの無い俺は最早恋雪の言葉に上手く笑い返すことすら出来ない。






そんな俺の思いとは裏腹に、デザートのいちごケーキは運ばれてきた。






覚悟は決めた。とっくに。



ただ緊張で上手く伝えられるか分からないのが怖くて少し怯えつつ恋雪がデザートを口に運ぶ前に俺は口を開いた。






そう、俺は今からプロポーズというものをする。人生初だ。






< 179 / 187 >

この作品をシェア

pagetop