18歳で父になった。
エピローグ
幸せ
恋雪にプロポーズしてから時が経つのはあっという間で。
気づいたら30歳になっていた。
俺も研修医、後期研修を全て終え
父さんの病院で副院長として多忙な日々を送っている。
「パパ!パパは柚子葉と手を繋ぐんだよ」
「やーーだー!!ぱぱはスズとつなぐ!」
そんな多忙な日々だが、今日は何も無いオフの日ということで家族で動物園に来ている。
恋雪と結婚して4年が経ち
柚子葉は小学6年になってすっかりお姉ちゃんだが
久々に出かけられたことに喜んでくれているのか、柚子葉は俺と手を繋ぐとはしゃいでいる。
その隣でオレもオレもと言うのは
恋雪との間に出来た2歳の長男…珠々葉(すずは)だ。
珠々葉も柚子葉の真似をしてか、俺の手を引っ張るがいつもはお姉ちゃんっ子。
どこに行くも何をするも柚子葉の真似ばかりしているが、柚子葉とは仲良しで助かっている。
「ユズちゃん、ぱぱばっかりだめー!」
珠々葉が柚子葉の袖を引っ張ってむすくれたのを見て
柚子葉は少し悩む素振りをして俺の手を離した。
「仕方ないなぁ〜、じゃあお姉ちゃんがスズとは一緒にいてあげる」
「やった!やった!ユズちゃん〜!」
柚子葉から手を繋がれて、珠々葉は大喜びでぴょんぴょんと飛び跳ねる。
そんな微笑ましい光景が嬉しくて俺は思わず口元を緩めると
横にいた恋雪も俺を見て同じく笑った。