18歳で父になった。




「順調かよ?メンヘラ彼女と」






ひとしきり笑ったあと、光司はそう、そっと耳打ちをしてきた。


光司の中では柚子はメンヘラ彼女認定されているらしい。


失礼な話だ。






「普通に何事もないぞ
お前こそ仲良いのか?」



「当たり前だろ?」






自信満々に言う光司に本当かなぁなんて疑う。



光司と真優ちゃんは付き合って約2年半。

その間、光司がDVしている疑惑が何度も浮上しているのだ。




真優ちゃんの友人によると、着替えの時などにお腹や腕、太ももに痣があるとかないとか。


俺も太一も光司がしてるって言ったとしてもちょっと納得してしまうような雰囲気はある。






「真優、そろそろおやつ場に行くぞ」



「わかった」






光司は俺との話に興味がなくなったのか
真優ちゃんの腕をつかんで"じゃあな"と手を振ってお菓子売り場へと消えていった。




こういう、細かい動作にやっぱり乱暴さがあるのが気になるが

まぁ真優ちゃんが笑っているうちは俺達は黙っておこうと太一と決めている。



そんな2人がいなくなり、お会計を済ませながら
柚子はぼんやりと2人の行った方を見つめながら呟いた。






「あの2人結婚するのかな」



「どうだろな?光司はしたいって言ってたけど」






光司は真優ちゃんのこと溺愛してるからな。

なんて笑うと、柚子は俺を見つめてニッと笑った。






「紫苑くんは?したくないの?
私のこと溺愛してないの?私はしてるよ?」






柚子はそう言って荷物で両手が塞がる俺の胴体に抱きついてくる。


結婚か。
俺はまだまだやりたいこともやらなきゃ行けないこともあるからそんなこと考えたこともなかったなぁ。



いつかはするのかな。なんて漠然としか考えてなかった。





そんなこと、柚子には言えないから、"そうだね"とだけ応えていた。






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