18歳で父になった。
「こちらの息子の紫苑も、病院の跡を継いでくれるそうなので来年から医大に入る予定です。
そこからは立派な医者になってもらって、柚子さんも子供も全力で支える大黒柱になります。
それまでの金銭的や精神的ケアなどは全てこちらがするのでご安心ください」
父さんの分かりやすく、かつ簡潔な今後のプランを聞くと、柚子の父さんは机をバンと叩いた。
「そんなのは困る!
そもそもこちらは農家を継ぐ約束で今は都会に残してきたんだ!
卒業したらこっちに帰ってきて、近所の佐藤さんの息子と結婚する約束をしていた」
そんな柚子の父さんの言葉には流石の父さんも驚いたようで、ちらっと柚子を見るも
柚子はやっぱり柚子の父さんを睨んだまま動かない。
俺も、高校卒業したら地元に帰るとしか聞いてなかったから初耳だ。
「柚子!お前も散々言い聞かせていただろう!
都会の何処の馬の骨ともしれぬ男と子供なんて作ってきて、恥さらしが!
佐藤さんにどう謝罪するつもりだ!」
完全に頭に血が登りきっている柚子の父さんは立ち上がって柚子を怒鳴りつけた。
そのまま柚子の頭をペしっと叩く。
「そんな娘に育てた覚えはない!」
そんな言い方ないだろ…。
流石に腹が立って、俺が言い返そうと口を開きかけた瞬間
柚子が立ち上がって、柚子の父さんの胸ぐらをつかんだ。
「うざい!
私は農家なんて継ぎたくないから紫苑くんと付き合ってるんでしょ!!
佐藤さんも全然イケメンじゃないし無理!
なんと言われようと結婚するし子供も産むからね!!」
柚子は柚子の父さんに負けないくらいの大声で言い放って家を飛び出して行った。
そんな一瞬の出来事に俺と父さんが顔を見合わせるも
俺が柚子の父さんと話し合いたいと目で訴えると通じたようで、そっと父さんが柚子の後を追って行った。