18歳で父になった。
「多分良かれと思ってやってんだよ真優
許してやって」
光司はそう言って手を合わせるが
特に怒ってはないから安心して欲しい。
ただ困ってるだけだ。
「紫苑くん、いつまでも恋愛興味ないって言ってちゃダメだよ!
せっかく顔もよし、性格よし、頭よしで完璧なのに勿体ない!」
「いやいや」
「とにかく!頑張ってね?」
何をだよと突っ込む暇もなく、真優ちゃんは言うだけ言って光司を連れて颯爽と去っていった。
取り残された俺はどうしていいのやら。
このまま帰るのもありだが、夜に女の子1人は危ないしなぁ…。
「はぁ…」
とりあえず今日は遅くなることを家に連絡しておこうとグループにメッセージを送ると同時に
"紫苑くん!"と少し高めの声が俺を呼んだ。
声のした方を振り向くと、黒髪ボブで上目遣いに俺を見つめる女の子がたっていた。
その瞳はかすかに揺れていて、不安そうだ。
「綾瀬柚子です!」
「高野紫苑です」
電話の時とほぼ同じように挨拶をして、なんだかそれが面白くなって笑いが込み上げてきた。
「あはは!遊びに誘った割に緊張しすぎだろ〜」
俺が笑いながら綾瀬にそう言うと、綾瀬はやっと少し緊張が解けたようにニコッと笑った。