18歳で父になった。
光司の怒り
俺と柚子が晴れて夫婦になって約半年。
季節も移ろい12月。
柚子は婚姻届を出した日に、早々に高校も中退の手続きを取った。
それからは、妊婦1人だと何かと大変だからとうちに住んでいるが
今のところ、母や璃苑とも表向きは仲良くやっているようだ。
「いつ産まれんだっけ?もうすぐじゃね?」
2学期の終業式を終えた放課後
教室で何気なく俺と太一と光司と真優ちゃんと恋雪で残って話していた時、光司が俺に聞いてきた。
そう、柚子が妊娠したことは生徒の間では広まってしまっていて
相手が俺だというのも知れ渡っていた。
知れ渡った一時期はその話題で持ち切りだったが、今ではそれも過去の話。
「予定日は1月11日。
あともう少しだな〜」
「もうすぐもすぐだな、お前が父親かぁ」
光司はしみじみと俺を見ながら呟いた言葉に恋雪はクスッと笑う。
「きっといいお父さんになるだろうね
紫苑くん優しいから」
「そうなれるように頑張る」
まだ自信はない。
きっと大変だけど、それでもこうして言ってくれる恋雪の言葉を裏切りたくないから。
「最近どうなの?柚子の様子は」
俺と恋雪が笑い合っていると、真優ちゃんがそう問いかけてきた。
どうやら、柚子は真優ちゃんと連絡をとっていないみたいだ。
「んー、思い詰めてるかもな
出産が近づくにつれて、不安が大きくなってるらしい」
痛いの怖い、辛い、嫌だ
と毎日弱音を吐いているのをなんとか励ましている。
少しは気晴らしに出かけようと言っても"転んだらどうするの"とか必要以上に過敏になっているのが困りものだ。
「そっか、柚子ちょっと神経質なところがあるもんね」
「そうだな、俺がしっかりしないとな」
「無理しちゃダメだよー?」
真優ちゃんは困ったように笑いながら
俺のことも気にかけてくれた。