18歳で父になった。
それから、なかなか生まれてきてくれず
このままでは、母子ともに危ないということで緊急で帝王切開になった。
帝王切開で無事に元気に生まれてきてくれた柚子葉と、弱音を吐きながら頑張ってくれた柚子は今日、退院となる。
出産から退院までが、柚子も俺も怒涛の毎日でスーパーカーで過ぎ去ったかのような1週間だった。
その間に学校もはじまったりで、そりゃ、もうバタバタだったわけだ。
唯一の救いは、バスケがない事だったけど。
「真優ちゃん達が、子供見に来たいって言ってたから、落ち着いたら呼ぼうな?」
退院し、俺が柚子葉を抱っこしながら柚子に話しかけると
柚子は産んでも尚暗い顔のままで、"んー"と聞いているのか居ないのかわからない返事。
「なんか子供を産むってそんなにいい物じゃなかった」
「あはは、痛かったろ?
女の人はすごいよな、感謝してる」
「傷はできるし最悪だよ」
柚子はそう言ってお腹をさする。
確かに、帝王切開してすぐは痛い痛いと泣きわめいていたし
それからも気分が晴れない様子だし…
少し心配だな。
俺がしっかり支えないとな。
「俺も学校終わったらすぐ帰ってくるから、昼間とか遠慮なくうちの母親頼っていいからな」
「うん、わかった」
気のせいか、柚子は柚子葉を抱っこしたがらなかったり
泣いたらすごく嫌な顔をするよう気がするけど、それも少しずつ改善するのだろうか…。
か拭いきれない不安が抱えながらも
俺と柚子は、18歳で親になった。