18歳で父になった。




「恋雪、恋雪はもっと自分の感情のままに生きていいんだぞ
もっと自分を大事にさ?」






そんなの、紫苑くんだって一緒じゃん。


柚子ちゃんのためにあんなに青春かけて医者になろうとしてたじゃん。


死ぬまで沢山の人を少しでも救いたいって言ってたじゃん。



でも全部全部我慢してるのは紫苑くんじゃん。




そんな言葉は紫苑くんの我慢を考えたら容易に口には出せなかった。






「恋雪は幸せになって。
絶対絶対幸せになるんだ。
図書館秘書になって、自分のしたいことをして、幸せになるんだ」






そう、私に向かって口にする紫苑くんの目には少し涙が溜まってるように見えた。






「紫苑くん、紫苑くんは幸せ?」






いままで見てきて、1度も紫苑くんの涙なんて見たことなくて。

それでも少しだけ見えた紫苑くんの涙に私が問いかけると、紫苑くんは少し視線を外してまた私を見て笑う。






「幸せだよ。
いや、これから幸せになる考え方を探していく」






きっとこれは嘘偽りのない言葉。



曲がったことが嫌いで、責任感の強い紫苑くんの精一杯の弱音。




その姿を見れて少しだけ紫苑くんもく苦しいって感情を出してれるんだなと思った。






「紫苑くん」



「ん?」






紫苑くんがそう言うなら、私はやっぱり伝えないの。


でもせめて応援はさせて。


今はまだ本当には応援できないけど
いつか心から言えるようにするから。






「紫苑くんも幸せになってね。約束だよ」



「ああ、ありがとう」






私が真っ直ぐに紫苑くんの目を見て言った言葉がどうか紫苑くんの力になりますように。




そう願いながら私の告白は、エールになってしまった。



ごめんね光司くん、太一くん。






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