18歳で父になった。
突然、そう聞いてきた柚子に笑って頷く。
「高校卒業して2人暮らしだって。
俺らも子育てとか色々落ち着いたら自分たちだけで暮らそうな」
今はまだ柚子の精神面だとかで不安なことばかりだから実家を出るのは無理だろうけど、いつかは柚子と柚子葉と3人で住みたいと俺は思っている。
なんて、夢の話をすると柚子も前みたいな笑顔で喜んでくれた。
「早く住みたいね!」
「そうだな、楽しみだな〜」
そのためには俺はもっともっと頑張らないといけないなぁ。
なんて将来のプランをぼんやりと考えつつ
運ばれてきたハンバーグを口に運ぶ。
目の前でハンバーグを頬張る柚子はやっぱりまだあどけなくて可愛らしい。
そりゃ、18歳でいきなり母親になれだなんて言われても難しいし、精神的に余裕がなくなるよな。
「この間柚子葉が夜中起きた時少し遊んでたんだけど、笑顔が柚子そっくりだよな〜」
「そうかな?」
「うん、可愛いなぁと思ってさ」
なんて、その時のことを思い出して口元が自然と緩んでいると
柚子は"ふーん"と興味なさげな返事しか返してくれなかった。
今は柚子葉のこと考えたくないのかな?
四六時中一緒だもんな。
そんなことを思い、反省をしていると
俺のスマホがブーブーと音を立てた。
「出ていいよ」
せっかく一緒にいるのだから取らないで放置していると、柚子はそう言って黙々とハンバーグを頬張る。
「ごめんな、ちょっと出てくる」
柚子の気遣いに甘えて
そっと席を立って御手洗にスマホを持っていく。