18歳で父になった。
御手洗でスマホの画面を見ると
"香菜"と、表示されていた。
香菜から電話とか珍しいな…。
今日のことでなにか急な話だろうか
と恐る恐るなり続ける電話をとる。
「もしもし?」
『紫苑!助けて!』
「え?どうした??」
通話が始まると同時に香菜は切羽詰まったような声で俺に助けを求めて来たことに驚おた。
声の感じからして、かなり焦っているみたいだけど。
『今ホテルにいるんだけど、お願い助けて』
「え?なにがあってるんだよ」
状況がつかめず、聞き返すも電話の向こうから"きゃっ"と短い悲鳴が聞こえてきた。
只事じゃなさそうな気配だが
今ここで柚子を置いていくわけにも行かない。
どうしよう…。
『紫苑!紫苑しか頼る人がいないの!』
香菜の半泣きの声で思考がどんどん追い詰められていく。
確かに香菜は一見フレンドリーだが心を開かないところがあるから、いつも一匹狼のように1人でいるところしか見た事がない。
俺とは、成績が学年1位と2位の件で香菜から話しかけてきて仲良くなったが…。
『用事があるって言ってたのにごめんなさいっ』
でも助けて、と言う声と悲鳴が聞こえてもうこれは行くしかないと思った。
困っている人がいるなら助けなくては行けない。
曲がりなりにも医者になろうとしてるのに、ここで友人を見放すわけにも行くまい。
「香菜、場所教えて」
俺は香菜にホテルの名前と部屋番号を聞き
直ぐにそのホテルに泊まりの予約をとる。
とりあえず予約をして入って、香菜の部屋に向かう作戦だ。
でないとホテルに入れないからな。
「すぐ行くから」
香菜に何が起きてるかはわからないが
切羽詰まった状況なのは伝わってきた。
早く行こうと、携帯をポケットに入れて
席に戻る。