18歳で父になった。
ホテルのチェックインを済ませ
香菜から教えられた部屋へと向かってドアをノックする。
「香菜?」
中からは特に音がせず、不安になって声をかけると
ゆっくりとドアが開いた。
「紫苑…」
「香菜、どうしたんだよ」
ドアを開けて姿を見せた香菜は
洋服は引きちぎられ、素肌が丸見えで
髪の毛も乱れている。
挙句殴られたような後が何ヶ所もあった。
そんな衝撃的な姿を見て、とりあえず中に入る。
「大丈夫か?なにがあったんだ?」
とりあえず俺はふろ場にあったバスタオルで香菜のボロボロの体を隠してやる。
すると、香菜は堰を切ったように涙を流し始めた。
「うっ……こわ…怖かった…」
「うん、怖かった?」
「怖かった……うぅ…」
香菜は俺に抱きついてボロボロと涙を流す。
柚子への罪悪感に苛まれながらも、香菜の背中をとんとんと落ち着くように規則正しく叩くと少しずつ落ち着いた様子の香菜。
「友達と遊んでて、友達は飲んでて…」
「うん」
少しずつ、怯えながらも言葉を発する香菜に耳を傾ける。
「それで酔ってる友達を連れて、そのままホテルに来て、普通のホテルだから大丈夫かなって思ってたの」
「うん」
「そしたら急に襲おうとしてきて…」
「大丈夫なのか?何もされなかったか?」
香菜の言葉で状況がようやくわかり
姿を見る限り嫌な予感はしたが
香菜はこくんと頷いてくれた。
「大丈夫。
服とかは破かれたり触られたりしたけど
暴れたら殴られて…しばらくしてやばいと思ったのか逃げた」
そう言う香菜の震える身体をみて
相当殴られたように見える。