18歳で父になった。

よろ着いた俺をクスッと笑う柚子がなんだか悪魔に見えてくる。


これ以上俺を失望させないでくれ。
これ以上言葉を紡がないでくれ。



嫌いになりたくないから…。




なんて心のどこかでそう願う自分がいて。
でもそんな願いは柚子には届かない。






「あんたが農家になるって言うんなら要らない！別れよう」






柚子は、つまんなさそうに俺の顔を見て、そうはっきりと言いはなった。




あまりの衝撃にその場にいたみんなが固まってしまう。






「だって私紫苑くんのこと微塵も好きじゃないもん」



「え…？」



「私は昔から農家を継ぎたくなくて、将来がお金持ちでイケメンで都合のいい男を選んだの。
それなのに農家を継ぐ？だったら好きでもない男と一緒にいる意味ないし」






柚子の口からポンポン出てくる言葉に開いた口が塞がらない俺達。


柚子はさらに続ける。






「せっかく医者の跡継ぎでイケメンで、ホイホイ騙されて付き合って、騙して妊娠してまで結婚したのにさ〜残念。
お腹に傷つくって産みたくもない子供を産んだのに。
名前にせたら愛着わくかと思ったけど、本当に1ミリも愛着わかない」







どんどん紡がれる言葉に、頭の中と心の中がいっぱいいっぱいになる。






「じゃあ、今まで言ってくれてたことは嘘？」






ぐちゃぐちゃの感情で、ようやく紡ぎ出した言葉に柚子は平気な顔でクスッと笑った。






「好き、とか幸せとか？？
嘘に決まってんじゃん
ちなみに、柚子葉も紫苑くんとの子か分からないから。
その時は他の人とも関係持ってたし」






ケラケラ、と悪魔のように笑う柚子にショックを隠しきれなくなってしまった。