18歳で父になった。
「紫苑」
さっきの言葉を思い出していると、光司がタオルを投げて渡してくれた。
どうしてタオル?と思っていると、俺の目から涙がボロボロありえないくらいこぼれ落ちてきていた。
「ゴホゴホッう…なんで涙」
みっともない。
人前で泣くことも、男が泣くことも。
俺が恥ずかしくてもらったタオルで顔隠すと、恋雪がそっと手を握ってきた。
恋雪は何も言わず、ただ泣いている俺の手を優しく包んでくれている。
「紫苑、どうするんだ?
自分の子かも分からないらしいぞ柚子葉ちゃん。
それにあんな言われ方して…もう別れていいぞあんなの」
「そうだよ…しかもあっさり言ったけど、一時期浮気してたってことでしょ?」
光司と真優ちゃんはそう言って諭してくれる。
自分でもわかってる。
もうこれ以上一緒に入れる自信が無いことも。
でも途中で投げ出すなんて最低じゃないか?
そんな自問自答をしつつ、ハッキリしているのは一つだけある。
「柚子葉は何があっても俺が育てる。
誰がなんと言おうと、柚子葉は俺の可愛い子供だ」
例え俺と血が繋がっていないかもしれない。
それでもいい。
俺のエゴかもしれないけど、でも俺が柚子葉を育てたい。
そんな意志が強いのは伝わったのか
光司も真優ちゃんも"そうだね"と頷いてくれた。
とにかく今は、柚子とのことをちゃんと考えなくてはいけない。