18歳で父になった。
家に帰る途中で、突然肩をポンポンと叩かれた。
「紫苑!その子誰??」
突然そう話しかけてきたのは、香菜。
あの事件以来も普通に友達として接している仲だ。
香菜は柚子葉をみて驚いたように目を見張っている。
「ぱぱ?れ?」
パパ誰?とでも言いたいのか、柚子葉は俺の顔を見て少し不安そうな顔をしている。
言ってなかったがバレたなら仕方ない。
元々隠してるわけでもなかったし。
「俺の娘。
言ってなかったけど娘いるんだよね」
「え!!!結婚してるの?」
「んー、まぁ一応」
別れるかもしれないこの状況でのこの出会いは少しきついなぁ。なんて思いながら笑い返す。
香菜はケラケラと笑いながら
柚子葉の頬をぷにぷにと押した。
「ふぇ…う…うわーん!!」
ところが、香菜が頬をぷにぷにした瞬間
人見知りも全然しない柚子葉が火がついたように泣き出してしまった。
「うわーん!!うっ…ぅ」
「よしよし、大丈夫大丈夫。
パパ一緒だよ」
「泣かれちゃったー」
ごめんねー、と言う香菜にもわんわん泣いている珍しい柚子葉。
「それじゃあね!泣かせてごめんね」
「じゃあまた冬休み明けなー」
手を振ってさっていく香菜に手を振り返しながら、柚子葉を抱っこしてあやして家へと急いだ。