18歳で父になった。




「誰が産んでやったと思ってるの?
自分は産めないくせに何様?」






確かに俺は産めない。

でも、父親であることに変わりはないはずだ。






「産んでくれたことは本当に感謝してる。
何度伝えても伝えきれないくらい。
でも、別れたあとは会わせることは出来ない」






父親なのだからしっかり柚子葉を守っていかなくてはいけない。


自分自身はいくら傷つけられても、立ち直れなくてもいい。


でも、柚子葉だけは命に変えても守りたい。




俺の決意が伝わったのか、柚子はため息をひとつついてまた舌打ちをした。






「わかった。じゃあ会わなくていいからお金は振り込んでよね。
あんたのせいで就職も困難だし、人生大きく崩されたんだよ?
自分は学校も行ってて苗字もそのまま、何一つ失ったのなんてないじゃん?
なのに自分はいい思いはおかしくない?」






普通はこういうので揉めたら弁護士やらに相談するのだろうが

いいかな、という気持ちになった。



たしかに一度は一生守り抜くと誓った相手。
将来を奪ったのはどんな経緯があろう事実。




そう考えると柚子の言うことは妥当な気もした。






「わかった。
毎月決まった額振り込むな」



「こんな曰く付きと、付き合おうとか結婚しようなんて人いないだろうね〜
一生一人で子育て頑張って〜」






柚子は約束の金額などが書かれた紙を用意しており、サインをさせられた。



いいんだ。もう、結婚するつもりもないし、恋愛するつもりもないんだから。





これからはただ柚子葉だけを立派に育てるだけ考えよう。






「中途半端人間君、恋愛向いてないよね」






あはは!と甲高く笑う柚子に何も言い返すことは出来ず


ただ、柚子の望むままにことを運んでしまったのだった。






< 83 / 187 >

この作品をシェア

pagetop