18歳で父になった。
「誰が産んでやったと思ってるの?
自分は産めないくせに何様?」
確かに俺は産めない。
でも、父親であることに変わりはないはずだ。
「産んでくれたことは本当に感謝してる。
何度伝えても伝えきれないくらい。
でも、別れたあとは会わせることは出来ない」
父親なのだからしっかり柚子葉を守っていかなくてはいけない。
自分自身はいくら傷つけられても、立ち直れなくてもいい。
でも、柚子葉だけは命に変えても守りたい。
俺の決意が伝わったのか、柚子はため息をひとつついてまた舌打ちをした。
「わかった。じゃあ会わなくていいからお金は振り込んでよね。
あんたのせいで就職も困難だし、人生大きく崩されたんだよ?
自分は学校も行ってて苗字もそのまま、何一つ失ったのなんてないじゃん?
なのに自分はいい思いはおかしくない?」
普通はこういうので揉めたら弁護士やらに相談するのだろうが
いいかな、という気持ちになった。
たしかに一度は一生守り抜くと誓った相手。
将来を奪ったのはどんな経緯があろう事実。
そう考えると柚子の言うことは妥当な気もした。
「わかった。
毎月決まった額振り込むな」
「こんな曰く付きと、付き合おうとか結婚しようなんて人いないだろうね〜
一生一人で子育て頑張って〜」
柚子は約束の金額などが書かれた紙を用意しており、サインをさせられた。
いいんだ。もう、結婚するつもりもないし、恋愛するつもりもないんだから。
これからはただ柚子葉だけを立派に育てるだけ考えよう。
「中途半端人間君、恋愛向いてないよね」
あはは!と甲高く笑う柚子に何も言い返すことは出来ず
ただ、柚子の望むままにことを運んでしまったのだった。