18歳で父になった。
「大切な人を大切にする仕方がわからない…。
自分なりに言葉にも態度にも今回は出てたんだけど、向いてなかったんだな」
切ない紫苑くんの言葉に私は自分のしたこともきっと紫苑くんを傷つけて、恋愛に臆病にさせてしまっているのに気づいた。
決して紫苑くんは私を責めたりしなかったけど、自分が悪いのだと自分を責め続けてて
やっと恋愛ができたと思ったら、柚子ちゃんからはこの仕打ち。
そんな紫苑くんの心情を想像して、私は心が千切れそうになった。
「もう父親だし、恋愛はしない。」
独り言のように呟いたその言葉はもしかしたら私に言っているのかもしれない。
私がまだしつこく紫苑くんを好きだから。
「紫苑くん、紫苑くんは素敵な人だよ」
だから自信もって。
そう言おうとして私は止まった。
だって、紫苑くんの目からは涙がとめどなく溢れていたから。
「情けないなぁ…。1人の人を幸せにすることすら出来ないなんて」
紫苑くんが自分を責めることない。
だって悪いのは柚子ちゃんじゃない…。
そんな言葉を伝えてもきっと届かない。
私の言葉じゃ紫苑くんを救うことは出来ない。
それがわかっているから私は声をかけることが出来ない。
紫苑くんが助けてと叫んでいるのが聞こえるような気がする。
どうにかしたい。
でもどうにも出来ない無力な自分が嫌いだ。