18歳で父になった。




「どんなこと言われてもされても好きだと思ってたんだけど、好きじゃないのに一緒にいるのは違う、それは俺の我慢だけの話じゃないもんな…」



「紫苑くん…」



「いくら謝っても許されないことをしたな…」






紫苑くんはそう言うと座り込んで頭を抱えて涙を流す声を押し殺す。






「もう無理だ…」






か細い声で限界の言葉を言う紫苑くんは今にも消えてしまいそうな背中だった。



あんなに強くて、弱音を言わない紫苑くんがこれだけ弱音を吐いて

涙を流して

限界を訴えるなんて想像を絶する辛さなんだと思う。





人一倍優しくて
人一倍責任感が強くて
人一倍柚子ちゃんを愛していたから。


だからこそ、自分だけを責めて
柚子ちゃんの非を全部自分の責任だと感じてしまっている。



一生守ると決めてた人と添い遂げることが出来ない中途半端な自分がダメなのだと。





そんなに責めないで欲しい。
全部嘘をついてて、紫苑くんを騙して酷いことばかりした柚子ちゃんが悪いの。


周りからしたらそう思うけど
紫苑くんは自分を責めて、きっと一生責任を感じ続ける。





そんな消えない傷を作った柚子ちゃんが
私は許せない。




私が守ってあげたい。
少しでも傷を軽くしたい。


そんな思ったってやっぱりかける言葉が見つからない。
自分の無力さが辛い。





なんて行き詰まった状況になっていると、ベランダのドアがガラガラと音を立てて、太一くんが顔を出した。






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