18歳で父になった。
花房 恋雪
柚子と遊んでから数日。
あれ以降、柚子は昼休みとかちょっとした用事でよく俺を訪ねてくるようになった。
それはなんだか、小動物が飼い主に懐いてるみたいで可愛いものだ。
まぁ、主従関係だなんて思ってないけど。
そんなある日の放課後。
「紫苑くん、プリント風で飛んできたよ」
「ありがと」
そう、飛んでったプリントを手渡してくれたのは
同じクラスの花房 恋雪(はなぶさ こゆき)。
小学校からの同級生で、唯一付き合った元カノ。
恋雪は大人しくて目立つほうじゃないが
めげずに何度も何度も想いを伝えてくれて2年程して中2の時
ようやく恋雪の良さに気づいた俺は
その整頓な顔立ちと、清楚な佇まい、一つ一つの仕草が綺麗で純粋なところに惹かれた。
まぁ結果は別れたんだけど。
俺の気持ちと恋雪の気持ちが俺の感情表現不足ですれ違ってしまったのだから仕方ない。
でも今後気をつけようと気づかせてくれた大切な人だし、今でも普通に友達としてやっている。
「最近、隣のクラスの綾瀬さんが来てるけど付き合ってるの…?」
コソコソ話をするように、小さな声で俺にそう問いかけてくる恋雪に笑い返した。
「付き合ってないよ
そう見えるのか??」
「う、うん…距離が近いから」
「ははっ、確かに柚子は近いかもな」
俺のそんな言葉になにか言いたそうに口を開いて閉じた恋雪。
恋雪はもっと思ったことを話してもいいかもなぁ。