18歳で父になった。
「紫苑、恋雪ちゃん風邪ひくぞ〜?」
太一くんは朗らかな笑顔で私の隣に立つと
紫苑くんが蹲っているのを見て、そっと紫苑くんの背中を摩った。
「紫苑、自分を責めすぎない責めすぎない。
紫苑は1人じゃないぞ?俺らも家族もみんないるだろ〜?」
「……」
「辛くても大変でも、全部を自分のせいだって思うのは紫苑のいいとこでもあるけど悪いところでもあるよ」
太一くんの言葉に紫苑くんは言い返さずにただ鼻を啜っている音だけが聞こえてくる。
「正直今回のは紫苑じゃなくて柚子ちゃんが悪いからさ、な?」
そんな優しい太一くんの言葉も今の紫苑くんには、ただの気休めでしかなくて
助けを求めるように太一くんは私をチラッと見た。
「紫苑のこと、好きなら今がチャンスじゃないかな?
弱ってるところに漬け込むみたいで嫌かもしれないけど、多分こうなった紫苑は本当に恋愛しなくなると思う…」
太一くんは私の耳元でコソッとそう言うと、ぐっと親指を立てて笑った。
確かに太一くんの言う通りそうかもしれない。
でも、私に出来るのだろうか…。
「大丈夫、紫苑は恋雪ちゃんのことずっと特別だと思ってるよ。傍から見てる感じ」
頑張れ!と私の頭をポンポンと撫でて、また家の中に入った太一くん。
特別。かぁ…。
そうだといいな…。